シフト管理や運営時間など、いくつかの課題や難点があった
※本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。
1946年に創立された愛知大学様は、名古屋駅前にある名古屋校舎をはじめ、豊橋校舎、車道校舎を有する私立大学です。
愛知大学様では学生を「IT」の側面から支援する『情報メディアセンター』を設置して以来、ノートパソコンをはじめとしてさまざまな情報機器の貸し出しを行っています。
『情報メディアセンター』の設置当初から、受付業務には派遣スタッフやアルバイトのほか、 “学生スタッフ”が従事していました。「学生スタッフ」とは、『情報メディアセンター』ではたらいている愛知大学の学生です。
当時の様子について、課長の石原様は次のように振り返ります。
「当時20~30人ほどいる学生スタッフの管理は、派遣スタッフの方がシフトを組んで対応していました。派遣スタッフや学生スタッフは、私たち職員に一つ一つ確認しながら仕事を進めていたため、サービス品質はどうしても均一化されませんでした」
愛知大学
情報システム課
課長
石原 有希子 様
また『情報メディアセンター』の運営時間にも難点がありました。学生向けにサービスを提供する場でもあるため、朝9時から夜20時まで開館する必要があったのです。職員の人数や勤務時間が限られるなかで「専任職員が開館から閉館まで対応することが難しい」という物理的な問題がありました。
学内ではじめて業務委託を導入。丁寧なマニュアル整備に驚き
そんな状況のなか、2004年に「業務委託」に向けて動きがありました。部長の秦様は次のように振り返ります。
「当時の課長が『専任職員は、情報システム基盤の企画立案や提案といったコア業務に仕事をシフトしていった方がよい』と考え、業務委託を模索し始めたようです。その頃、さまざまな民間企業でもアウトソーシングの導入が進んでいたと思うので、『そういった流れを本学にも取り入れたい』と考えて動いたのだと思います」
愛知大学
情報システム課
部長
秦 俊一郎 様
こうして複数社のなかから選定されたのが、現在のパーソルテンプスタッフでした。ただ、愛知大学様ではアウトソーシングを導入した実績がなかったため、導入は簡単ではなかったようです。学生スタッフ達から「私たちのはたらく場がなくなるのでは?」といった不安の声が上がりました。
「アウトソーシングを導入するということに対する、ある種の“現場の反発”とでも言いましょうか。だから『大丈夫です』『皆さんのはたらく場がなくなったりはしません』『これまでとは違う形を作っていきます』といったことを丁寧に説明していきました」と秦様は振り返ります。
一方で、アウトソーシングを導入したことによる驚きもすぐに感じられたようで、それが『マニュアルの整備』でした。秦様は次のように言います。「マニュアルやドキュメント類を細かく丁寧に作っていただくことで、業務の均一化を実現できました」
ミーティングやデータ分析が効果的に。学生スタッフにも影響が
業務委託を導入したことによって、現場によい効果がいくつか現れていきました。
まずは「朝9時から夜20時まで開館しなければならない」という点。業務委託化によってパーソルテンプスタッフがシフトを組み、運営体制の構築が捗るようになりました。
また学生スタッフと行っていた「ミーティング」では、 “課題を洗い出して伝えていく”など、教育的な面も含めたミーティングを実施していきました。
この点について石原様からは、「ときおり私も出席して話を聞いていると、『実効性、実行性のあるミーティングが行われている』と思いました。こういった点も“業務委託ならでは”なのかな、と感じますね」とお褒めくださいました。
さらに情報メディアセンターの利用状況についても、パーソルテンプスタッフは、データを活用して「分析レポート」を提出するようにしていきました。
「貸し出しノートパソコン」の制度を例に挙げると、『どれくらいの学生が、どのような使い方をしているか』をレポートにまとめて提出していきました。それにより、職員の皆様が学生の動向に合わせたサービスを考え、提供できるようになっていったのです。
この点について秦様は、「これも大きな変化ですね。テンプスタッフさんに業務委託をお任せするようになって、かなり上手く回っている点じゃないかな、と思います」と評価してくださいました。
また「情報メディアセンター」での経験が、“学生スタッフへの教育的な影響”においても副次的に効果が現れ始めました。
例えば学生スタッフが、『情報メディアセンター』で「パソコンの空き状況を一覧できるシステム」などの開発や改修を担当しました。そういった業務を通じて学びを得たことで、卒業後にSEとしてIT業界に就職したケースもあったようです。
「自分で作ったものがずっと残って業務に使われていく、というのは学生スタッフにとってはすごく励みになると思います。就職先に影響があった学生スタッフも何人もいますので、ここでの経験がいろいろなところに波及しているのかな、と思いますね」と石原様も笑顔で語りました。
メリットを実感。他の校舎・部署にも『業務委託』が波及
名古屋校舎への業務委託が上手くいきつつあるなかで、目が向き始めたのは他の校舎でした。豊橋校舎もまた、以前の名古屋校舎と同じような状況でした。
石原様は次のように話します。「豊橋校舎も、マニュアル整備が不足している部分がありました。そこで当時の上長に、『豊橋も名古屋と同じように業務委託をしたい』と毎年のように要望をあげていきました」
秦様も次のように話します。「名古屋校舎では確実に我々の負担は減りましたし、サービスの均一化も達成できていきました。なので、その『成功事例』をもとにして豊橋にも展開を広げていきたいと」
愛知大学様内部での継続的な議論もあり、ついに2018年には豊橋校舎の『情報メディアセンター』もパーソルテンプスタッフへ委託することになり、サービスの均一化が図られていきました。秦様は、その後の様子を次のように説明します。
「同じ企業に業務を委託することによって、校舎間の横のつながりができ『現場同士でもつながりが強固になってきているな』と最近よく感じています」
実際パーソルテンプスタッフでは、校舎ごとのリーダーが月に1度は顔を合わせて情報を共有する機会を設けていました。そして、そこで業務改善のアイデア出しもしているため、それらの取り組みに効果を感じてくださっているようでした。
このようにパーソルテンプスタッフが、丁寧に運用を積み重ねることによって『業務委託のメリット』を実感できるようになりました。そして「業務委託というものに対する意識が変わってきた」と秦様は続けます。
「最近では『業務委託によって外部の力を借りながら、私たちはより効果の高い業務に集中しよう』と明確に言われるようになってきましたね」
その後はほかの課の業務もアウトソーシングするなど、愛知大学様に業務委託が波及していきました。
業務委託の今後について石原様は「長く勤めてくださっている方が多いので、今勤めてくださっている方を大切にしていただきながら、後継になる方も上手く育てていただきたいなと思います」と希望を語ってくださいました。
同様に、秦様は次のように期待を寄せてくださいました。「今までもそうですが、『こうしたら良いのではないか』といった提案については、引き続きご提示いただけるとありがたいな、と思います」
担当者コメント
パーソルテンプスタッフ株式会社
第二BPO事業本部
中部BPOサービス部 中部運用三課
プロジェクトマネージャー(PM)
福本 征司
愛知大学様では、はたらくスタッフ側も5年や10年など非常に長く勤めてくださる方が多くいらっしゃいます。一般的な受付業務と比べて長期間の就業になっているのですが、何故ここまで続くのかというと、1つ大きな理由があります。 それは、学生スタッフの皆さんと4年間をともに過ごし、彼らの成長を常に見続けられるのが非常に楽しくもあり、大きなモチベーションにもなっているのだと思います。