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テレワークで離職防止は可能?
結論から言えば、テレワークは離職防止に非常に効果的といえるでしょう。パーソルキャリアが実施した調査データによると、勤務先がテレワークを「継続できなくなった場合」、従業員の6割以上が転職を検討すると回答しています。テレワークという働き方が、単なる一時的な措置ではなく、従業員のキャリアや生活を左右する重要な選択肢となっていることの表れです。特に、育児や介護、配偶者の転勤などのライフイベントを迎えた際、テレワークという選択肢があるかどうかが、働き続けたいと思えるかどうかの分かれ目になります。企業にとって、これらの優秀な人材を失うことは大きな損失です。
また、海外の研究者らが発表した論文によると、週2回はハイブリッドワークを導入したケースでは離職率を3分の1近く抑制する効果があったと報告されています。
引用元:https://www.nature.com/articles/s41586-024-07500-2
出社回帰は、コスト削減や社内コミュニケーション活性化などのメリットがある一方で、従業員の生活スタイルを変え、通勤時間の増加やプライベートとの両立の難しさといった負担を強いることになります。満員電車でのストレスや、通勤時間の有効活用が失われることによる不満は、従業員のエンゲージメントを低下させ、離職を検討するきっかけを与えかねません。
テレワークは、従業員に寄り添った柔軟な働き方を提供することで、企業と従業員双方にメリットをもたらし、結果として離職防止につながると言えるでしょう。
テレワークのメリット
テレワークは、従業員と企業の両方に多くのメリットをもたらします。ここでは、それぞれの立場から見た具体的なメリットをご紹介します。
従業員側のメリット
ワークライフバランスの向上
通勤時間がなくなることで、従業員は仕事に充てる時間だけでなく、趣味や学習、家族との時間など、プライベートな時間を確保できます。生活の満足度が向上し、心身ともに充実した状態で仕事に取り組むことが可能になります。育児や介護、通院など、個々の事情に合わせた柔軟な働き方が可能になるため、生活と仕事を両立しやすくなります。特に、子どもの急な発熱などにも柔軟に対応できるため、育児中の従業員にとっては精神的な負担が大幅に軽減されます。このような環境は、「この会社なら長く働ける」という安心感を生み、離職を食い止める大きな要因となります。
生産性の向上
オフィスにいると避けられない雑談や急な依頼、会議室への移動といった無駄な時間を削減でき、自分のペースで業務に集中できるため、生産性が向上します。また、従業員が最も集中できる時間帯や環境で働けるため、アウトプットの質も高まります。さらに、通勤時間がなくなることで、疲労が軽減され、心身ともにリフレッシュした状態で仕事に臨めるため、結果として業務効率も向上します。
企業側のメリット
優秀な人材の確保と定着
テレワークは、時間や場所に縛られないため、地方に住んでいる優秀な人材や、育児・介護でフルタイムの出社が難しい人材など、これまで採用が難しかった多様な人材の雇用を可能にします。結果として、採用市場が広がり、より優れたスキルを持つ人材を獲得できる可能性が高まります。また、一度採用した優秀な人材が、ライフイベントを理由に離職することを防ぎ、従業員の定着率向上にも繋がり、長期的な視点での人材育成や採用コストの削減にも寄与します。
コストの削減
オフィス賃料や光熱費、従業員の通勤交通費など、出社にかかる様々なコストを削減できます。オフィススペースを縮小したり、フリーアドレス制を導入したりすることで、固定費を大幅に削減できる企業も少なくありません。削減したコストを、従業員の福利厚生や教育研修に回すことで、さらなる従業員満足度の向上や生産性向上につなげることも可能です。
育児・介護休業法への対応
育児や介護と仕事を両立する従業員が増えている現代において、テレワークは「育児・介護休業法」への対応策としても有効です。2025年4月から施行された改正育児・介護休業法では、3歳未満の子を養育する労働者および要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう、事業主が措置を講じることが努力義務化されています。また、10月からは3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対し、テレワーク等を含む5つの選択肢から2つ以上の措置を講じることが義務化されるため、法律遵守だけでなく、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。これは、企業イメージの向上にも繋がり、採用活動においても大きなアピールポイントとなります。
テレワークのデメリット
テレワークにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。これらの課題を事前に理解し、対策を講じることが重要です。
従業員側のデメリット
孤立感やコミュニケーション不足
対面でのコミュニケーションが減ることで、チーム内での情報共有が滞ったり、気軽に相談できる相手がいないことで孤立感を感じたりすることがあります。特に、新入社員や若手社員は、上司や先輩との関係性が築きにくく、キャリア形成やスキルアップに不安を抱えやすくなります。また、部門を横断するような偶発的なコミュニケーションが生まれにくくなるため、新しいアイデアやイノベーションが生まれにくいという課題もあります。
働きすぎやオン・オフの切り替えの難しさ
自宅で働くため、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりやすく、つい長時間労働をしてしまう「隠れ残業」や、業務のオン・オフの切り替えが難しいといった課題が生じることがあります。オフィスであれば定時で仕事を切り上げやすいですが、自宅では時間管理が自己責任となるため、メリハリをつけることが難しく、心身の疲労につながるケースも少なくありません。
企業側のデメリット
勤怠・業務管理の難しさ
従業員の勤務実態が把握しにくくなるため、「隠れ残業」や「中抜け時間」といった勤怠管理上の課題が発生しやすくなります。自己申告による勤怠管理だけでは、正確な労働時間を把握することが難しく、過重労働を見逃してしまうリスクも高まります。
公平な人事評価の難しさ
従業員の働きぶりを「見て」評価することが難しくなるため、評価が成果に偏り、「頑張っているはずなのに評価されない」といった不公平感から、従業員が不満を抱くリスクがあります。また、チームへの貢献度や協調性といった、数値化しにくいプロセス部分の評価が難しくなることも課題です。
情報漏えいのリスク
オフィス外で業務を行うテレワークでは、機密情報や個人情報を取り扱う際に、セキュリティリスクが高まります。従業員の自宅のWi-Fi環境が脆弱であったり、カフェやコワーキングスペースで作業中にPC画面を覗き見されたりするリスクも考えられます。また、企業が貸与したPCの管理不足や、従業員が個人所有のPCを業務に利用することによる情報漏えいのリスクも無視できません。セキュリティ対策を怠ると、企業の信用問題に発展する可能性もあるため、厳重な管理体制が不可欠です。
テレワークを離職防止策として活用するためのポイント
テレワークを単に「導入する」だけでなく、離職防止に最大限に活かすためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらの取り組みは、企業と従業員の間に強固な信頼関係を築き、持続可能な働き方を実現するために不可欠です。
公平な評価制度の導入
テレワークにおいて、従業員の働きぶりを「見て」評価することは困難です。そのため、「頑張っているはずなのに評価されない」といった不公平感から、従業員が不満を抱くリスクがあります。この課題を解決するには、結果や成果を重視した「成果主義」の評価制度へ移行することが不可欠です。具体的なKPI(重要業績評価指標)や目標を従業員と共有し、それを基に客観的に評価する仕組みを構築しましょう。また、成果だけでなく、チームへの貢献度や課題解決への積極性など、テレワーク環境でも評価可能な項目を明確に定義することも重要です。
信頼関係を築くためのコミュニケーション
対面でのコミュニケーションが減るテレワーク環境では、意図的にコミュニケーションの機会を設けることが重要です。定期的な1on1ミーティングや、チーム全体での週次ミーティング、気軽に雑談できるバーチャルオフィスツールの導入、業務と関係ないオンラインランチ会など、オンラインでも従業員同士、そして上司と部下が円滑にコミュニケーションを取れる仕組みを整えましょう。その結果、孤立感の解消や、ちょっとした困りごとを相談しやすい環境が生まれ、従業員の精神的な負担を軽減できます。また、非公式なコミュニケーションの場を設けることで、部署を横断した交流が生まれ、組織全体の一体感を高めることにもつながります。
勤怠・業務の適切な管理
テレワークでは、「隠れ残業」や「中抜け時間」といった勤怠管理上の課題も発生しやすくなります。従業員が自己申告する勤務時間と、実際のPC稼働状況に乖離がないかを把握することは、健全な労働環境を維持し、従業員の健康を守る上で不可欠です。そこで役立つのが、PCのログを自動的に記録し、勤務実態を可視化するPC監視ツールです。業務内容やPCの利用状況を客観的なデータで把握することで、過重労働やサービス残業を防ぎ、従業員の適切な労働時間を守ることができます。
MITERAS仕事可視化は、PCログと自己申告の勤務時間を突き合わせ、従業員の勤務実態を正確に把握できるツールです。深夜や早朝の隠れ業務も可視化できるため、リモートワークで課題になりがちな労務管理を適切に行い、従業員の健康維持と、適切な人事評価に役立てられます。
ハイブリッドワークも検討する
ハイブリッドワークとは、週の数日は出社、残りの日数はリモートで働くという勤務形態です。この柔軟な働き方は、テレワークのメリットであるワークライフバランスや生産性向上を維持しつつ、対面でのコミュニケーション不足や孤立感といったデメリットを補うことができます。オフィスで顔を合わせることで、チームの一体感を醸成し、偶発的な会話から新しいアイデアが生まれることも期待できます。テレワークか出社かという二者択一ではなく、従業員が自分に合った働き方を選べる選択肢を提供することが、定着率向上への近道となります。
離職防止には「従業員に選ばれる働き方」の提供が不可欠
テレワークは、単なる勤務形態の変更にとどまらず、企業文化やマネジメントのあり方そのものを変えるきっかけとなります。従業員の働きぶりを「管理する」のではなく、「自律を促し、支援する」という新たなマネジメントスタイルが求められます。従業員一人ひとりが自らの業務に責任を持ち、効率的に働けるようサポートすることが、結果として生産性向上と離職防止につながります。
出社回帰の動きがあるからといって、安易にテレワークを廃止することは、優秀な人材の離職リスクを高めることになりかねません。重要なのは、企業が主体的に働き方を決めるのではなく、従業員が自らのライフスタイルに合わせて出社とテレワークを柔軟に組み合わせ、「選べる」働き方を提供することです。従業員が「この会社は自分を大切にしてくれる」と感じる環境を整えることが、結果として離職防止につながります。
その第一歩として、PCログから従業員の勤務実態を見える化し、労務管理を適切に行うことができる「MITERAS仕事可視化」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。