「電柱の空いている部分」の貸し出しが急増
※本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。
——御社はどのような事業を展開されているのでしょうか。
三角様:当社は東京電力グループの企業として、電柱の地中化と地域開発事業、配電事業、広告事業を展開しています。配電事業の一つには「共架事業」があります。
——「共架事業」と言いますと?
三角様:電柱の空いている部分を通信線や携帯電話の5G基地局などを設置するために貸し出す事業ですね。
東電タウンプランニング株式会社
共架業務部 オートリース契約課
共架オペレーションセンター 共架管理グループ
マネージャー
三角 二郎 様
——なるほど。この共架事業というのは、昔からあるものですか。
岡田様:1985年から段階的に始まった「通信の自由化」からですね。それまでは現在のNTTの通信線だけしか張ることができませんでしたが、通信事業に民間事業者が参入できるようになり、電柱も有効活用されるようになりました。
——そういうことですか。実際に利用は増えているのでしょうか。
岡田様:ええ、年々増えており、最近では『5Gの中間基地局』としての需要が高まっている他、自治会などから『防犯カメラを設置したい』という申請も増えています。
——なるほど。基地局や防犯カメラの設置は、確かに増えていそうですね。
可視化ができておらず「外部に委託したほうが……」
三角様:エリアは東京電力管内1都8県で、エリアごとにスタッフを配置して業務に取り組んでいましたが、業務を一箇所に集約して効率化を図ることになりました。それで2018年8月に開設したのが、『共架オペレーションセンター』です。
——どちらにこのセンターを?
三角様:さいたま市にセンターを開設しまして、まずは埼玉、群馬、栃木の共架業務の集約化からはじめて、徐々に他のエリアも集約化していきました。カバーするエリアが広がるたびに業務量が増えますので、そのたびに人員を増やし、社員を含めたスタッフの人数は1年も経たずに100人程まで急増しました。
——1年も経たずに100人程まで!
岡田様:急激に人が増えましたので、スタッフの育成は大変でしたね。時間をかけて育成しても辞める方もいらっしゃいますので、業務に必要な人数を確保するのは容易ではありません。
——確かに、人員の確保は悩ましい問題ですね。
岡田様:それ以外にも、1都8県の業務を集約した時に、それぞれのエリアにローカルルールが存在したことも大きな問題でした。申し込みの書式は決まっているのですが、エリアによっては省略する部分や必要な書類の数が違っていたので、センターができてしばらくの間は混乱していました。
——センターに社員の方はどれだけいらっしゃいましたか?
岡田様:センターの発足当時は私も含めて社員が3人いました。派遣スタッフの方が疑問に思ったことや判断できないことを社員の誰かが判断していましたが、担当者によって回答が違っていたと思います。判断基準が曖昧でした。
共架業務部 共架オペレーションセンター
共架管理グループ
岡田 圭司 様
——センターに集約しても、混乱は続いていたのですね。
田島様:ええ、各エリアの業務を集約化したものの『業務の可視化』ができていませんでしたので、「外部に委託した方がいいかもしれない」と考えました。
課題を解決するため、「BPOもパーソルテンプスタッフへ」
——なるほど。そこからどう具体的に委託先を検討するように?
田島様:ちょうどそのタイミングで、チーム派遣(※)をお願いしていたパーソルテンプスタッフからご提案を受けたことがきっかけです。
※「チーム派遣」とは……同じ派遣会社に所属する複数名の派遣スタッフを1つのチームとして派遣する契約形態で、派遣スタッフを束ねるリーダーをチームに配置し、そのリーダーがスタッフへの業務指示を担います。業務指示をチームリーダーに一任して運営しますが、スタッフ一人ひとりの雇用管理・労務管理は、派遣先企業となります。
——パーソルテンプスタッフに決めていただいた理由はなんでしょうか。
田島様:もともとパーソルテンプスタッフに派遣サービスをお願いしていて、その業務の品質自体に大変満足していました。事前調査の結果を見て、業務の中で抱えていた課題を解決するには、ご提案いただいた通り、BPOもパーソルテンプスタッフにお願いした方がいいと考えました。
東電タウンプランニング株式会社
共架業務部 共架オペレーションセンター
統括グループマネージャー
田島 洋史 様
——「派遣だけでなくBPOも」ということですね。
田島様:はい。社員に相談するエスカレーションの内容を集計できるフォームなどの作成もご提案いただいて、「これなら全員が同じルールで業務を進めることができるのではないか」と思い、2020年6月からBPOをお願いしました。
——ちなみに、BPOに該当する業務はどの部分でしょうか?
三角様:「電柱を利用したい」という申し込みを事業者の方から受け付けて、設備を取り付けることができるかどうかを審査し、電柱への設置工事が申請通りに実施されたかどうかを確認します。この確認作業を『竣工検分』と言いますが、この業務をBPOでお願いしています。
納期を順守しながら、課題へのアプローチも速やかに
——なるほど、『竣工検分』をBPOへ。では、BPOに移行してみて、業務にはどのような変化が表れましたか。
三角様:以前に比べると、業務の進捗状況がかなり可視化されました。
——「業務の可視化」が進んだ、と。
三角様:それと、スタッフの方が判断に困るケースが新たに出てきた場合も、月1回の報告会で報告していただいて、改善できる点があればすぐに取り組むようにしています。
——課題への気づきも、それに対するアプローチも早くなったわけですね。
岡田様:以前は「納期」を決めていたものの、業務量が多く、しかも煩雑だったので、どちらかというと「努力目標」のようなものでした。それが今ではWEBで申し込みがあったものは5営業日以内、紙での申し込みは11営業日以内に処理していただくルールで、必ず納期を順守していただいています。
——納期が「努力目標」でなく「順守」になったと。
岡田様:はい。クライアントへの対応納期が安定し、かつ、常に順守可能な状態になったことは一番の成果ですね。
社員の人数を減らしても、安心して任せられる
——クライアントだけでなく、皆さまにとってメリットを感じている部分はありますか?
田島様:導入して1年4ヶ月くらい経ちましたが、社員の負担は確実に軽減されていますね。当初は社員が3人で担当していましたが、今は1人です。
——3人だったのが、1人ですか!
田島様:ええ。以前は細かいことで対応に追われていましたが、業務に関してはお任せできるようになって、基本的に全体の管理だけをする状態になりました。
——そうでしたか。他に何かメリットはありましたか?
岡田様:以前は社員が日々の業務を指示していましたが、現在はBPOチームのリーダーが業務指示を行ってくれますので、大変助かっています。
——業務指示を任せられるのも委託のメリットですね。
岡田様:はい。判断基準やルールも書面に起こして可視化してくれていますので、新しいスタッフの方が入っても判断がぶれなくなっています。それと、スタッフの育成もしていただけるのは大きいですね。スタッフの労務管理にかかる負担もかなり軽減され、企画業務などに注力できています。
——それは良かったです。ありがとうございました!
担当者コメント
パーソルテンプスタッフ株式会社
特別法人営業本部
特別法人第二営業部 CR二課
新井 孝宏
派遣スタッフは現在の法律では3年間しか同じ職場ではたらくことができませんので、私たちにとっても優秀な人材がはたらけなくなるという課題がありました。派遣からBPOに移行することで、スタッフの方の能力を引き続き生かすことができますので、スタッフの方の希望も聞きながら今後も調整を進めていきたいと思います。
パーソルテンプスタッフ株式会社
第一BPO事業本部 東日本セールスサポートサービス部
セールスサポート運用二課 プロジェクトマネージャー
川口 千絵子
今後もご要望があれば、業務の可視化や工数調査等を通じて、BPOにより効率化できる対象業務の拡大をご提案させていただきたいと考えています。その際には、一方のチームが繁忙期になったらもう一方のチームからスタッフを借りてお手伝いいただくといった『BPOチームの新たな体制』をつくりたいと思っています。
パーソルテンプスタッフ株式会社
第一BPO事業本部 東日本セールスサポートサービス部
セールスサポート運用二課 プロジェクトリーダー
橋本 和枝
「膨大な業務量をどうすれば早く処理できるかについては試行錯誤しました。その結果、現在はエスカレーションをするスタッフと、処理業務をするスタッフを分けて役割分担しています。エスカレーションの担当者を決めることで、それ以外のスタッフが業務に集中できるようになり、効率がよくなったと思います。」