※掲載内容は取材当時(2024年9月)のものです。
導入前の課題
移転に伴い『照合業務』の委託を検討するも、大きな不安
中村屋様は、東京都新宿区に本社を置く食品メーカーです。「新宿中村屋」の名称で知られ、和菓子、洋菓子、パン類、中華まん、レトルト食品などの製造販売ならびに飲食店の営業を行っています。関東で販売される中華まんでは、トップのシェアを占めています。
その中村屋様の東京事業所は渋谷区・笹塚にありましたが、ビルの建て替えに伴い移転を余儀なくされました。しかし、スペースの問題もあって丸ごと移転することができず、機能を分けることになったようです。
オペレーションセクションの課長である下中様は、当時の状況を次のように語ります。
「神奈川の海老名に事業所がございまして、その一角に一部の機能を移転することになりました。それに伴って、会計業務を効率化できないかと考えたのです」
なぜ会計業務の効率化を考えたのかというと、理由はいくつかあったようです。ひとつは、人員の問題でした。下中様は続けて説明します。
「笹塚の近所から何年も通っている従業員も多かったので、海老名に移転となると全員がそのまま通い続けるのも難しくなりました。とはいえ、すぐに会計の人員を採用できるわけでもありません」
そして、『照合業務に一番時間が掛かっていた』という問題もありました。会計グループの係長である小野沢様は次のように語ります。
「売掛金管理は必ず納期が決まっていまして、決算の前までに全て数値を合わせなくてはなりません。ただ、照合にどうしても多くの時間が掛かってしまうので、焦って直前にワーッとなる時があるんです」
また、業務量に応じて費用が掛かる“従量制”に切り替えることで、固定費ではなく変動費としてコントロールできるようにして、「変化に強い組織にしたい」といった狙いもあったようです。
そうして、移転に伴って会計業務の一部を委託しようと考えた中村屋様。しかし、それまでは業務をすべて内製でおこなっていたため、大きな不安も感じていたようで、下中様がその時の心情を吐露しました。
「バックオフィスの業務を外に出すのは私自身も初めてでしたし、『移転』という締め切りも決まっていましたので、心配ではありました。日々の受注業務を止めることはできませんので……」
取り組み内容
『業務改善』『ランニングコスト』『BCP』の観点で委託先を決定
不安を抱えながらも、会計業務の委託先を探していった中村屋様。まずは、ネットなどで会計照合を受託している会社を探してリストアップしていったようです。
会計照合を受託している会社をリストアップしていくと、そのリストから数社へ声を掛けます。そして、プレゼンを受けた結果2社に絞り、その2社からパーソルビジネスプロセスデザインを選んだのでした。
なぜ、最終的にパーソルビジネスプロセスデザインが選ばれたのか。理由として主に『業務改善』『ランニングコスト』『BCP』の3点を挙げ、下中様は次のように解説してくださいました。
「パーソルビジネスプロセスデザインは九州にも拠点があり、何かあっても業務が継続できるだろうという点。そして、営業の担当者から業務改善のご提案も併せていただけた点に感心しました。さらに、ランニングコスト面でも有利でしたので、長期的な視点でも優れていましたね」
そうして、パーソルビジネスプロセスデザインに決めて業務の移管を実施していった中村屋様。会計業務を外部で実施するための環境をどのように整えるか、という点で少し時間を要したものの、期日までには間に合わせることができました。
準備の状況について下中様は次のように振り返ります。「パソコンはどちらが用意するか、守秘義務契約はどう交わすか、などの体制を決めるところが少し大変ではありました。
ただ、最終的にはクラウドで構築することができましたので、お互いにコストもそこまで掛からず運用できたのは非常によかったです」
締め切りとして設定されていた2021年3月には、無事に移転が完了。会計業務も問題なく移管することができました。また、当初は14人のメンバーがいましたが、アウトソーシングしたことによるものだけでなく通勤の問題で別の部署に移った方もおり、6人にまで減少したといいます。
また、パーソルビジネスプロセスデザインとは毎月定例会を開き、中村屋様の課題やパーソルビジネスプロセスデザイン側の課題をしっかりと共有し、議論していく場を設けていきました。
導入の効果
照合業務の時間は大幅に減少。東日本だけでなく西日本でも適用
初めて会計業務をアウトソーシングすることになった中村屋様ですが、現在の状況がどのようになっているのかをお伺いすると、小野沢様は照合業務について次のように説明してくださいました。
続けて小野沢様は、携わる人数が減った点についても語ります。「人数が減っても、照合にかける時間はそれ以上に減ったので『今まで20社担当していたけど40社できるようになった』というように、一人ひとりの幅がすごく広がっています」
この点については下中様も「依頼する前は、やはり会計の中で一番時間が掛かっているところが照合でしたので、まず照合業務を委託することによって、一定の成果を少人数でも出せるという結果になりましたね」と付け加えてくださいました。
また、今回の事例を受けて中村屋様は、2023年4月に次のアクションも起こしていきました。大阪営業所と福岡営業所にも受注会計機能がありましたが、大阪に集約させることに成功したのです。
「当時は東日本だけだったのを、西日本もパーソルビジネスプロセスデザインにお願いすることで、大阪に集約させることができました。東日本での事例をそのまま適用させることができましたね」と笑顔になる下中様。
これからの展望として、加工・会計管理セクションの課長である都築様は、「まだまだ委託できる業務はある、と考えていますので引き続きご協力をお願いしたいですね」と語られました。
続けて下中様も「定例会でもしっかり報告をいただけるので安心してお任せできていますし、色々な提案もいただけますので“様々な視点をもらえている”感じがします。世の中の変化に対応していくためにも、引き続きお手伝いいただきたいです」と期待を寄せてくださいました。
お客様プロフィール
株式会社中村屋
中村屋様は、和洋菓子や中華まん、レトルト食品・冷凍食品の製造・販売まで一貫した体制で行っている食品メーカーです。1901年にパン屋として創業された同社は、クリームパンの創案をはじめ、代名詞でもある「純印度式カリー」といった日本初の商品、中華まんじゅうなどの独自の商品、個性的なお菓子の数々を世に送り出しお客様からも高い人気を博しています。また、常に「品質保証(おいしさと安心、安全)の徹底」を追求しており、質の高い商品を提供し続けていらっしゃいます。
会社名 | 株式会社中村屋 |
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本社所在地 | 東京都新宿区新宿三丁目26番13号 |
設立 | 明治34(1901)年12月30日 |
代表者 | 代表取締約社長 島田 裕之 |
従業員数 | 773名 (2024年3月時点) |
ホームページ | https://www.nakamuraya.co.jp/ |
担当者コメント
幅広い経理業務の中でも、まだまだ紙文化や属人化から抜け出せない業務の一つとして、売掛金明細の消込・照合業務が中村屋様からのご依頼でした。私共としても中村屋様経理ご担当者様のご負担をどう減らすことができるのか検討し、手入力からOCRの導入をすることで、できる限り業務の標準化や、品質、生産性向上にも繋げることができました。
今回のインタビューにて改めて中村屋様からも有難いお言葉を頂戴し、担当者一同、大変励みになりました。今後もより一層、中村屋様のお役に立てるよう様々なご提案をしていきたいと思います。